獣医師が解説するフレンチブルドッグにかかりやすい病気 Vol.4

人気犬種フレンチブルドッグがどのような病気にかかりやすいか知っておこうシリーズVol.1では、軟口蓋過長症、外鼻孔狭窄症、気管形成不全とあわせて短頭種気道症候群と呼ばれる疾患について、Vol.2では、気管虚脱と口蓋裂という疾患について、Vol.3では膝蓋骨脱臼とレッグペルテス病について解説していきました。ここVol.4では、股関節形成不全と眼瞼内反症についてご説明していきたいと思います。

股関節形成不全(股関節異形性)

股関節形成不全は遺伝性疾患で、一般的にゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、ジャーマンシェパード、バーニーズマウンテンドックなどの大型犬で発生が多いことで知られていますが、実はフレンチブルドッグもかかりやすい犬種の一つです。多くは、生後6ヶ月から一歳頃までに発症します。

病気の定義

股関節の奇形および変性をおこす疾患で、病理学的には股関節寛骨臼の発育不全・変形、大腿骨頭の変形・扁平化により股関節が弛緩した状態です。

症状

以下のような症状がみられたら注意が必要です。
  • 後ろ足をびっこひく
  • 腰を振るような歩き方(モンローウォーク)をする
  • あまり動きたがらない
  • 立ち上がりにくそうにする
  • 階段を上りたがらない
  • 後ろ足が内股状態に立つ

診断

・身体検査:股関節可動時の痛み、オルトラニーサイン陽性(股関節の緩みをチェックする検査)
・股関節レントゲン検査:正確な股関節のレントゲン検査を行うには鎮静をかける必要があります。

治療

股関節形成不全の治療には、内科学的治療と外科的治療があります。股関節形成不全の程度が軽度の場合は、体重管理や消炎鎮痛剤なども用いながら様子をみていきます。股関節形成不全の程度が重度の場合は、三点骨盤骨切り術(TPO)、股関節全置換術、大腿骨頭切除術などの外科手術が行われます。手術は、動物のサイズや年齢に応じて選択されます。

眼瞼内反症

眼瞼内反症は多くは遺伝性疾患で、フレンチブルドッグを含むパグ、ペキニーズなどの短頭種犬種、顔に皺の多い犬種(チャウ・チャウ、シャー・ペイ)などにみられることが多いです。通常一歳以下で、ほとんどの場合、生後6ヶ月ごろに確認されます

病気の定義

眼瞼が眼球に向かって内側に反転した状態で、角膜に対して眼瞼や睫毛が物理的刺激を持続的に与え、角膜炎や角膜潰瘍を発生させる大きな要因になります。

症状

以下のような症状がみられたら注意が必要です。
  • 眼をよくこする
  • まばたきをよくする
  • 涙目である

診断

一般的に身体検査(外観チェック)で明白です。

治療

フレンチブルドッグのような短頭種で、眼瞼内反症により色素性角膜炎や慢性流涙症、角膜潰瘍が引き起こされる場合には、外科的治療として内眼角再建術を行う必要があります。