甲斐犬の基本情報!歴史や性格・特徴。心配なしつけやお手入れ方法もご紹介

甲斐犬は秋田犬や柴犬などと並ぶ、代表的な日本犬です。しかしペットショップで扱っているところが少ないほか、飼っている方もあまり多くないので、どんな犬か知らないという方もいるのではないでしょうか。そこで、甲斐犬の基本情報をはじめ、歴史や性格、しつけやお手入れ方法をご紹介します。

甲斐犬の基本情報

甲斐犬は国の天然記念物に指定されている犬種です。現在はほとんどが家庭犬として飼われていますが、以前は獣猟犬として飼われていました。

そして、今もなおその気質を残すように繁殖されています。

そのため四肢が丈夫で、急な傾斜の山道や、足場の悪い岩場でも身軽に走れるほどです。

また、周りの状況を冷静に判断する能力にも長けています。

日本原産の甲斐犬は日本の気候に慣れており、暑さにも寒さにも強く体は丈夫なほうです。

平均寿命は12~16年ぐらいと言われています。

甲斐犬の歴史

甲斐犬はもともと獣猟犬

甲斐犬の原産国は日本で、古くから存在していた犬です。

もともとは山梨県の甲斐地方の山岳地帯で、シカやイノシシを狩る獣猟犬として用いられていました。

その頃、ちょうど和犬愛好家の安達太助氏が、横浜から山梨県に赴任した際に甲斐犬に興味を持ち、甲斐犬の調査や収集を始めていったと言われています。

数年後、安達氏は甲斐日本犬愛護会を立ち上げ、より精力的に甲斐犬の保存に取り組んでいったそうです。

そして1934年に甲斐犬は、国の天然記念物に指定されています。

天然記念物に指定されている日本犬は、現在6種類しかいないので、甲斐犬は貴重な存在と言えるでしょう。


「甲斐の虎毛犬」という愛称

また、虎のような珍しい模様の被毛から、「甲斐の虎毛犬」という愛称でも呼ばれています。

現在も猟犬として用いられていたりしますが、ほとんどが家庭犬として飼われています。

甲斐犬の身体的特徴 甲斐犬はペットショップで見る機会が少ないこともあり、体の特徴がいまいちよくわからない、と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。

そこで、甲斐犬の身体的特徴についてみていきましょう。

甲斐犬の体重・体高

甲斐犬の目安体重は16~18kg、体高は43~53cmほどになります。

オスとメスで体の大きさの差は、ほとんどありません。

甲斐犬の容姿

甲斐犬は、ほかの日本犬と比べると額が丸みを帯びているほか、つぶらな瞳でかわいらしい顔つきをしています。

また、ピンと立った三角の耳と、長くて幅が狭いマズルが特徴的です。

体は胸の幅が広めで足が長く、オオカミに似た部分が見受けられます。

甲斐犬の被毛

被毛の長さは短く、細くてやわらかい毛質です。

そして、皮膚を守る役目の上毛と、体温調節の機能を果たす下毛からなる二重構造になっています。

抜け毛は多いほうですが、春と秋の換毛期にはとくに多くなります。

甲斐犬の毛色

  • 黒虎毛:黒地に茶褐色の虎模様が入っている毛色です。
  • 赤虎毛:黒虎毛と比べて赤茶色が入った虎模様の毛色です。
  • 中虎毛:黒と茶褐色が同じぐらい混ざっている虎模様の毛色です。

幼犬のときは一色の虎毛ですが、成長するにつれて毛色が変化していきます。

また、虎毛ではなく黒一色、白一色のような甲斐犬は純血犬ではなく雑種犬です。

甲斐犬の性格・気質

犬を飼う上で、その犬の性格や気質をしっかりと知っておくことは、非常に重要なポイントです。

甲斐犬がどのような性格なのか、知識を持っておきましょう。

警戒心が強い

甲斐犬は非常に警戒心が強い性格です。

そのため飼い主やその家族には懐くものの、ほかの犬や人に慣れるのは多少時間がかかると思っておいたほうがよいでしょう。

忠誠心が強い

ひとたび心を許すようになると非常に従順で、スリスリと甘えてくることも少なくありません。

忠誠心が強く、飼い主の指示はきちんと守って行動できます。

気性が荒い

甲斐犬は気性が荒い気質を持ち合わせています。

しかし子犬の時期のしつけによって、この気性が荒い気質は抑えられるので、無駄に攻撃してくるようなことはありません。

勇敢

もともと獣猟犬だった甲斐犬は、周囲の状況を冷静に察知する能力が高く、勇敢な性格です。

自分から攻撃的な態度をとることはないものの、知らない相手が向かってきたら臆さないところがあります。

そのため番犬として頼もしい存在になってくれるでしょう。

賢い

甲斐犬は非常に賢く、しつけをすれば無駄吠えをするようなことはあまりありません。

また、散歩中にほかの犬にあっても、飼い主が「マテ」と言えばその状況を理解し、トラブルを起こすことなく、どんな犬とも接することができます。

甲斐犬の飼い方

甲斐犬の飼い方について、具体的にみていきましょう。

甲斐犬の飼い方 ポイント① 散歩時間と頻度

もともと、野山を走りまわる獣猟犬として用いられていただけのことはあって、甲斐犬は運動量を多く必要とする犬種です。

そのため1日2回、各1時間は散歩に連れて行くようにしましょう。

また、子犬期であっても1日2回、20~30分の散歩時間が必要です。

それに加えて、ときどきドッグランで思いっきり遊ばせてあげるのもおすすめです。

ノーリートで自由に走りまわれば、運動不足にならずに済むでしょう。

運動量が足りないとストレスがたまり、問題行動を引き起こす原因になるので気をつけてください。

甲斐犬の飼育環境

甲斐犬は暑さにも寒さにも強いので、室内だけでなく外飼いにすることも可能です。

ただし、甲斐犬が暑さに強いといっても、近年の日本の暑さではさすがにバテてしまうので、暑さ対策は欠かせません。そのほかにも、もし外飼いにする場合は、

  • 犬小屋が日陰になるようにし、直射日光があたらないようにする。
  • フィラリア予防、及びノミダニ駆除薬をする。
  • 家の敷地内から出ないようにフェンスなどで囲む。
  • ノミやダニの温床にならないよう、犬小屋をこまめに掃除し、抜け毛がたまらないようにする
  • 部屋の中から犬の様子がいつでも見えるところに、犬小屋を設置する
  • 犬小屋に毛布などを敷いて寒さ対策も行う

といったことに気をつけましょう。

また、室内で飼う場合、もし庭が広ければ、昼間は室内と庭とを自由に行き来できるようにするのもよいでしょう。

運動量が必要な甲斐犬にとっては、散歩以外にも、このように動けるようにしてあげるのも大切です。

甲斐犬のしつけ

安心・安全に暮らすために、甲斐犬のしつけは以下のことをしっかりと教えておきましょう。

甲斐犬のしつけ ポイント① 社会化を身につける

3~12週齢の間は、まだ警戒心が芽生えていないので、新しいものや人を比較的容易に受け入れていくことができます。そのため、甲斐犬がこの時期にほかの犬や人と触れ合う機会を作るほか、車の音や掃除機などの生活音に慣れさせておきましょう。

そうすることで甲斐犬が成犬になったときに、ほかの犬や知らない人に会っても、攻撃的な態度をしない穏やかな性格の犬になっていきます。このことを、「犬の社会化」と言います。

社会化のしつけは非常に重要なため、しっかりと行いましょう。

社会化が不十分だと成犬になったときに、ほんの少しの物音でも怖がって吠えたり、ほかの犬と会ったときに攻撃的な態度をとり、ケガを負わせてしまったりするような犬になってしまします。

とくに甲斐犬はもとの気質に気性が荒い一面があるため、社会化のしつけは必須です。

甲斐犬のしつけ ポイント② 甘噛みをさせない

ほかの犬と同様、甲斐犬も子犬のうちは甘噛みをしてくることも少なくありません。

しかし甘噛みを放っておくと噛み癖がついてしまうので、子犬のうちに直しておく必要があります。

もし甘噛みをしてきたら「ダメ」と言って叱り、噛むことを止めたら、おやつを与えるとよいでしょう。

そうすることで、噛まなければいいことがあると認識し、甘噛みが直っていきます。

また、噛んでもいいおもちゃを与えるのも、甘噛み対策に効果的です。

甲斐犬のしつけ ポイント③ トイレの場所を覚えさせる

トイレのしつけは、一回で覚えさせるのは難しいですが、根気よく続けていけば覚えていくので、しっかりと行いましょう。

最初のうちはサークルにペットシーツを敷いて、そこをトイレとして覚えさせ、それが慣れたらトイレトレーに移行することをおすすめします。

また、トイレの場所を覚えるまでは、排泄しそうなタイミングを見てトイレに連れていきましょう。

子犬は主に食後や水を飲んだあと、体を動かしたあとに排泄する傾向にあります。また、床のにおいを嗅いでいたり、同じところをグルグルとまわっていたりするときも、排泄前のサインです。

それらのタイミングを見てトイレに連れて行けば、失敗することなく排泄できます。

もしすぐにしなくても、しばらくそのままサークルに入れて、排泄するまで様子を見るとよいでしょう。

そして、サークルでのトイレに慣れたら、トイレトレーに移行していきます。

トイレトレーは甲斐犬の体よりも、ひとまわり大きいサイズのものを用意しましょう。

そして、トイレを置く場所は人の通りが多いドア付近は避け、落ち着いてできそうなところに設置してください。

甲斐犬のお手入れ

日々のお手入れをしてあげることで、病気を予防し健康に過ごすことができます。

では、甲斐犬はどのようなお手入れが必要なのでしょうか。

甲斐犬のお手入れ ポイント① ブラッシング

週に1~2回程度ブラッシングをして、抜け毛を取り除いておきましょう。

ただし下毛が生え変わる換毛期の時期は、驚くぐらい抜け毛が多いので、毎日ブラッシングをする必要があります。

ブラッシングをするときは、シリコンやゴム製のラバーブラシを使うことをおすすめします。

最初は毛流にそって撫でるようにやさしく、ブラッシングをしていきましょう。力を入れて行うと、毛が切れてしまうので注意してください。

そして毛をかき分けて、下毛もブラッシングすると抜け毛が取り除けます。

仕上げには、豚毛や馬毛でできた獣毛ブラシで整えていきましょう。獣毛ブラシで仕上げると、毛の表面のほこりや汚れを取り除くほか、静電気もおこりにくくなります。

また、ブラッシングは被毛を整えるだけでなく、マッサージ効果もあります。

そのおかげで血行がよくなり、皮膚の働きを正常に保つのにも効果的です。

甲斐犬のお手入れ ポイント② 耳掃除

甲斐犬は立ち耳なので、垂れ耳の犬種と比べて汚れがたまるほうではありませんが、それでも、ときどき耳掃除をする必要があります。

もし耳介が汚れていたら、耳の中も汚れている可能性があるので、きれいにお手入れをしましょう。

耳掃除のやり方は、

  • イヤークリーナーを溢れるぐらいまで耳に入れる
  • 耳の根本をクシュクシュと揉む
  • 犬に頭を振ってもらい、イヤークリーナーを耳から出す。
  • コットンで耳介についた汚れと、耳の中に残っているイヤークリーナーを拭き取る

といった手順です。

もし手伝ってくれる人がいれば二人でやったほうが、よりスムーズにできるでしょう。

ひとりが頭を押さえておけば、イヤークリーナーがこぼれなくて済むほか、途中で頭を振ってしまうことも防げます。

また、汚れを拭き取るときはコットンやガーゼを使用しましょう。綿棒を使うと、耳の中を傷つけてしまう恐れがあり危険です。

甲斐犬の注意する病気

甲斐犬は体が丈夫で、とくになりやすい病気などはありません。

しかし、ブラッシングやシャンプーなどを怠ると、皮膚病を引き起こす恐れがあるので、気をつけなければなりません。月1回はシャンプーをして、清潔に保つようにしましょう。

また、シャンプーですが、頻繁に行うと皮膚が乾燥してしまい、かえって皮膚を傷めてしまうので注意が必要です。少し汚れた程度であれば、濡れたタオルで拭いて、きれいにするだけで十分です。

甲斐犬の購入方法

甲斐犬の購入方法ですが、ペットショップでも販売されるものの、それほど多くは見かけないので、ブリーダーから購入するのが一般的でしょう。

ただし、悪質なブリーダーも多いので、展示会やドッグショーに出展しているような、信頼できるブリーダーを選ぶようにしましょう。

もし犬舎に見学に行くのを断ったりするようであれば、注意が必要です。

動物愛護法により、犬の購入時は、対面販売が義務付けられているので、子犬に会わせないのは悪質ブリーダーの可能性が高いと言えるでしょう。

また、気に入った子犬のことだけでなく、親犬の情報もしっかりと確認しておくことをおすすめします。

子犬の性格や体質は、親の影響を大きく受けているので、親犬の性格の特徴などを知っておくと、その子犬がどんな性格の犬になるのか、想像つきやすくなります。

甲斐犬のさいごに

甲斐犬は飼い主にしか懐かない、「一代一主の犬」と言われていたりしますが、必ずしもそうとは限りません。

子犬の時期にしっかりとしつけを行い、愛情をもって接していけば、ほかの犬とも友好的な関係が築けます。忠誠心が強くて勇敢な甲斐犬は、きっとよきパートナーとなってくれるでしょう。