獣医師が解説する犬のダニ  〜種類や症状、予防法と人への感染について〜

犬のダニと一言にでいっても、ダニの種類によって、起こってくる症状は様々です。また、そのダニによっては、人にも感染をおこし、またダニを媒介して人畜共通感染症を発生するものもあり注意が必要です。ここでは、日本でよくみられるダニとして、マダニ、ニキビダニ、ヒゼンダニ、ミミヒゼンダニと4種類のダニをとりあげて、それぞれ詳しく解説していきたいと思います。

獣医師が解説する犬のダニ① マダニ

犬とお散歩から帰ってきてみたら、何か愛犬に黒い粒がへばりついている。

よくみたらダニのようです!っと病院にこられる方も少なくありませんが、これは大方がマダニです。

特に暑い夏場には多くみられます。マダニは色々な病気を媒介するやっかいな寄生虫でもあるので気をつけましょう。

マダニの症状

マダニの症状としては、大きく分けて、直接的な寄生によるものとマダニ媒介性疾患によるものが挙げられます。

直接的な寄生によるもの

  • 無症状
  • 大量に寄生している場合は、貧血症状
  • マダニ付着部位の炎症、結節(マダニが付いている皮膚のあたりが赤くなったり、しこっていたりする)
  • アレルギー性皮膚炎:マダニの唾液がアレルゲンとなり、強い痒みを引き起こします
  • ダニ麻痺症:マダニの種類によっては、唾液中に毒性物質を産生するものがおり、それにより神経障害をおこします。

マダニ媒介性疾患

マダニ媒介性疾患とは、マダニを介して発生する病気のことで、ライム病やバベシア症、エールリッヒ症、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、Q熱、ダニ媒介性脳炎、日本紅斑熱などが挙げられます。

このうち犬に感染するバベシア症、エールリッヒ症は人に感染を示しませんが、その他の病気は全て人畜共通感染症とされており、重症化すると死に至る可能性がある怖い病気もあります。

以下にマダニ媒介性疾患の症状を示しますので、もし愛犬に該当する症状がある場合はすぐ動物病院に駆け込んで下さい。

  • ライム病:元気消失、食欲不振、跛行、起立困難、発熱など
  • バベシア症:発熱、貧血、黄疸、ビリルビン尿(茶色い尿)など
  • エールリッヒ症:発熱、鼻汁、流涙、食欲不振など
  • 重症熱性血小板減少症候群(SFTS):発熱、全身倦怠感、消化器症状など
  • Q熱:無症状、軽い発熱、流産など
  • ダニ媒介性脳炎:震え、痙攣などの神経症状
  • 日本紅斑熱:無症状

マダニの予防

犬の散歩中にマダニが付いてきてしまうというケースが多いので、草むらの少ないお散歩コースを選んで、なるべくマダニの遭遇を避けてあげるといいでしょう。

ただし、外に行く限りは、マダニを100%防ぐことは不可能なので、特に夏場はノミダニともに予防できる寄生虫予防駆除剤を定期的に使用してあげましょう。

また、マダニが犬にガッツリと付いてしまっているのを発見した場合は、無理して引きはがさず動物病院に連れて行って下さい。

獣医師が解説する犬のダニ② ニキビダニ

ニキビダニは、獣医臨床でよく遭遇する寄生虫ですが、外界では生存できず、犬の毛包(毛穴)に生息するため、飼い主が肉眼で発見することはできません。

また、人へ感染することもなく、犬同士の感染も一般的には認められません。

少数のニキビダニは正常な皮膚にも存在しており、何らかの原因で共生関係が崩れ、ニキビダニが過剰に増殖すると病気として発症しするとされています。

ニキビダニの症状

ニキビダニ症は、局所性と全身性に分けられ、一般的に前者は若齢犬で発生し、90%において6〜8週間にて自然治癒します。

  • 脱毛
  • かゆみはあったりなかったり
  • ふけ
  • 赤くぶつぶつとした皮疹
  • かさぶた
  • びらん
  • 潰瘍

局所性の場合、症状はポツリと脱毛部を認めるだけであることが多いです。

ニキビダニの予防

ニキビダニはもともと皮膚に常在する寄生虫で、予防は難しいです。

何らかの基礎疾患をもっている場合、ニキビダニ症の治療が長引くことも多く、ニキビダニの駆除だけでなく、ストレスや何か他の病気が絡んでいないか注意してみていくことが必要になっていきます。

獣医師が解説する犬のダニ③ ヒゼンダニ

ヒゼンダニ寄生による皮膚疾患は犬疥癬とよばれ、非常に強い痒みを起こすことで有名です。

愛犬が痒すぎて夜も眠れないという場合は、動物病院で、皮膚をチェックしてもらいましょう。

また、犬のヒゼンダニは、人では増殖しませんが、一時的に寄生して痒みは起こしますので、愛犬と共に痒みがみられるという場合も少なくありません。

ヒゼンダニの症状

  • 非常に強い痒み
  • ふけ
  • 脱毛
  • かさぶた
  • 皮膚炎

特に、犬の肘や踵の部分や腹部側から病変が現れることが多いです。

ヒゼンダニの予防

ヒゼンダニは非常に感染力が強く、感染している他の犬や猫から移ってしまうことが多く、予防は難しいです。

見逃しようのない非常に強い痒みを症状として示しますので、愛犬が痒くて痒くてしょうがないといった場合は必ず動物病院に連れて行って検査をしてもらいましょう。

また、ヒゼンダニはなかなか検査でみつけるのが難しい場合もありますので、数回にわたる皮膚検査や、治療的診断として駆虫剤が使用されることも少なくありません。

なお、犬を多頭飼いされているの場合は、一度に犬全員駆除をする必要があります。

獣医師が解説する犬のダニ④ ミミヒゼンダニ

ミミヒゼンダニは通称耳ダニともよばれ、皮膚表面と耳道に生息し、犬猫に一般的に見られる寄生虫です。

犬が耳を痒がって、頭をよく振っている場合などは、注意が必要です。

ミミヒゼンダニの症状

  • 耳の非常に強い痒み
  • 暗褐色あるいは黒いべったりとした耳垢がよくでる
  • 掻いたことによる耳、頭部の脱毛、擦過創
  • 耳以外にもまれに頸部、臀部、尾部に寄生し痒みや皮膚病変をおこすこともある

ミミヒゼンダニの予防

ヒゼンダニと同じく、ミミヒゼンダニも犬猫間で感染をみられますが、一般的には人への感染は認められません。

野良猫などから感染することが多いので、他の感染動物との接触をなるべく避けましょう。

また、犬が耳の痒みを認めたら、動物病院で早めに駆除をしてもらいましょう。

犬の多頭飼いの場合は、一度に全員駆除をする必要があります。

獣医師が解説する犬のダニについて まとめ

ダニにも色々な種類、起こしてくる症状も様々であることがお分かり頂けましたでしょうか。

愛犬に、何らかのダニが寄生していると疑わしい場合は、早めに動物病院に行って、それぞれに適したダニ駆除、治療をしてもらいましょう。