【動物看護士が解説】実はあまり知らない?犬の骨格についての基礎知識


犬,骨格

犬の骨格の基礎知識

骨格の役割

骨格とは、関節で結合した複数の骨や軟骨によって構成される構造のことをいいます。

骨格の役割とは、動物の体の骨組みを形成して支え、保持し、それに付着する骨格筋と共同して運動を行う運動器官です。
また、神経系や臓器を保護する役割も果たしています。
そして、骨髄では赤血球や白血球などの血液を作る役割や、カルシウムの貯蔵をする役割も持っています。

骨の基本構造

人間の骨の数は206個あるのに対し、犬の骨の数は320個と人よりも多くの骨で出来ているのが分かります。

犬の骨は、その形状によって5つに分類されます。

 

長骨

長骨は、棒状の骨で大腿骨という太ももの骨などがこの骨で形成されています。

短骨

短骨は、短い骨で手根骨という前肢の手首にあたる骨などがこの骨で形成されています。

偏平骨

偏平骨は、偏平な形の骨で頭蓋を形成する多くの骨がこの骨で形成されています。

不規則骨

不規則骨は、不規則な形の骨で骨盤当たりにある椎骨や顎の下顎骨などがこの骨で形成されています。

含気骨

含気骨は、内部に空気を含んだ空洞を持つ骨で、骨を軽くしたり音を響かせたりする役割をもち、頭蓋骨の一部である前頭骨などがこの骨で形成されています。

 

犬の骨格 頭部

頭蓋

犬の頭部の骨格は、頭蓋骨で成り立っています。
頭蓋は脳や感覚器官を保護する役割を持っています。

頭蓋を形成する骨は様々な種類があります。
また、犬の種類によってこの頭蓋骨の形も様々です。
ボルゾイやグレイハウンド、コリーなどの系統の頭が長い犬種は、長頭型頭蓋と呼ばれる頭蓋を持ちます。
ダックスフントやビーグル、柴犬などは中頭型頭蓋と呼ばれる頭蓋を持ちます。
パグやフレンチブルドッグ、ペキニーズなどは、短頭型頭蓋と呼ばれる頭蓋を持ちます。

犬の頭蓋は、人の頭蓋と比べると体の割には大きいです。
これは、肉食の犬は嗅覚や聴覚が発達している感覚器官は、直接生死に関わる大切な

部分なので、人よりもはるかに発達しているためです。

頭部には、歯も骨格の一つとして含まれています。
犬の歯は、永久歯で基本的には全部で42本あります。
人の歯の数が全部で28~32本あるのに対して、犬は人よりも歯の本数は多いです。
歯の種類は、切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯の4種類あります。

 

犬の骨格 前足

犬の前足と呼ばれる前肢ですが、肩から前足の先の骨をまとめて前肢骨といいます。
この前肢骨は、大きな骨を肩から順に、肩甲骨、上腕骨、尺骨、橈骨、手根骨、中手骨、指骨という大きい骨と、細かい骨や軟骨、関節で形成されています。

肩甲骨

人の肩甲骨は背中からよく分かりますが、犬の肩甲骨は、前肢の付け根にあるので体の側面のところに大きくあります。
犬は、人と違い鎖骨がありませんので、この肩甲骨の動きも人に比べると動きの自由度は少ないです。
犬の肩甲骨のうごきは制限されるので、前肢を水平に広げることはできませんので、無理に広げようとはしないように注意が必要です。

上腕骨

上腕骨は、肩甲骨から伸びている肩から肘の間の骨です。
上腕骨の上方は、上腕骨頭と呼ばれる部分と肩甲骨が繋がり、下方は、上腕骨滑車と上腕骨顆と呼ばれる部分と尺骨・橈骨と繋がります。

橈骨・尺骨

橈骨と尺骨は、肘下から手首までの骨です。
橈骨は前肢の前方にあり、尺骨は後方にあります。
尺骨のほうが橈骨よりも長く、上方に肘頭と呼ばれる出っ張りがあります。

手根骨

手根骨とは、手首の骨です。
手根骨には、橈側手根骨や尺側手根骨、副手根骨などがあります。
手根球と呼ばれる肉球が地面から浮いている手根骨あたりにありますが、これは、手根骨を衝撃から守る役割があります。

中手骨

中手骨は、手のひらにあたる部分の骨です。
前肢の中手骨は、5本で構成されています。
人とは違い、犬の手のひらの部分は地面から浮いています。

指骨

指骨は、前肢の指の骨です。
犬は、この指の部分のみ地面についています。
指骨は、中手骨側から基節骨、中節骨、末節骨で成り立ちます。
そして、その先に爪が生えています。
指の関節ごとに、種子骨という細かい骨もあります。

 

犬の骨格 後ろ足

犬の後ろ足と呼ばれる後肢ですが、寛骨という人でいう骨盤から後ろ足の先の骨をまとめて後肢骨といいます。
後肢骨は、寛骨、大腿骨、腓骨、脛骨、足根骨、中足骨、趾骨という大きい骨と細かい骨や軟骨、関節で形成されています。

寛骨

寛骨とは、左右1対の腸骨、座骨、恥骨から形成される環状(輪のような丸い形)の骨で、骨盤を構成します。
人にもありますが、形は犬の方が狭く細長く構成されています。

犬は鎖骨が無く、肩甲骨と上腕骨を繋ぐ肩関節の動きが人よりも制限されますが、反対に寛骨と大腿骨を繋ぐ股関節の動きは人よりも自由度が高いです。
これは、犬特有の寛骨と大腿骨の角度や、関節外靭帯というものが犬には無いためです。

大腿骨

大腿骨は、寛骨から伸びている太ももの部分の骨です。
大腿骨の上方は、大腿骨頭と呼ばれる部分と寛骨の寛骨臼という窪みが繋がり股関節を形成します。
下方は、膝蓋骨滑車と内側顆と呼ばれる部分と腓骨・脛骨と繋がります。
さらに、大腿骨の下方には膝蓋骨と呼ばれる膝関節の前にある膝を保護する骨があります。

腓骨・脛骨

膝下から足首までの骨です。
腓骨は前内側にあり、脛骨は後外側にあります。

足根骨

足根骨とは、足首の骨です。
足根骨には、踵骨、距骨、中心足根骨、足根骨などがあります。

中足骨

中足骨は、足の平の骨です。
後肢の中足骨は、4本の中足骨で構成されています。
前肢と同じく中手骨は、地面から浮いています。

趾骨

趾骨は、後肢の指の骨です。
前肢と同じくこの指の部分のみ地面についています。
趾骨も、中足骨側から基節骨、中節骨、末節骨で成り立ちます。
そして、その先に爪が生えています。
指の関節ごとに、種子骨という細かい骨もあります。

 

犬の骨格 脊椎、胴体

脊椎や胴体は、犬にとって骨格を構成するとても大切な場所です。
背骨の部分の脊椎は体をささえる大切な役割、胴体を構成する肋骨は内臓を守る大切な役割も持っています。

それぞれの脊椎間、肋骨間にはいくつかの靭帯で強く固く連結されています。

脊椎

犬の脊椎は頭側から順に、頸椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎で構成されています。
脊椎と脊椎の間は、椎間板というクッションのような働きをもつ板があります。

頸椎

頸椎は、首の骨です。
犬の頸椎の数は7個あります。

頸椎の中でも名前があり、第一頸椎を環椎と呼び、第二頸椎を軸椎と呼びます。
残りの第三頸椎~第七頸椎はそのまま呼ばれます。

 

胸椎

胸椎は、肋骨に繋がる骨です。
犬の胸椎の数は13個あります。

胸椎は、それぞれ第一胸椎~第十三胸椎と呼ばれます。

 

腰椎

腰椎は腰あたりの骨です。
犬の腰椎の数は7個あります。

腰椎もそれぞれ第一腰椎~第七腰椎と呼ばれます。

 

仙椎

仙椎は、寛骨に繋がる部分です。
犬の仙椎の数は3つあります。

仙椎もそれぞれ第一仙椎~第三仙骨と呼ばれます。

 

尾椎

尾椎は、尻尾の骨です。
犬の尾椎の数は20~24個あります。

尾椎も第一尾椎~第二十四尾椎と呼ばれますが、犬の種類によって尾の長さが異なるので、尾椎の数にも違いがでてきます。

胸骨

胸骨と呼ばれる肋骨は、13本ありそれぞれ第一肋骨~第十三肋骨と呼ばれます。
それぞれの肋骨の先には肋軟骨と呼ばれる軟骨が繋がって胸骨が構成されています。

 

まとめ

骨格とは、関節で結合した複数の骨や軟骨によって構成される構造のことです。
犬の骨は人と比べると数が多いですが、形も違えば人にあって、犬にはない骨もあります。
そして、関節の動きや働きも人とは違うので基本的な動きが、犬特有の動作を構成しているのです。

専門的な骨の名前を沢山挙げましたが、犬に多い骨折や、膝蓋骨脱臼、大腿骨頭壊死、椎間板ヘルニア、股関節形成不全など外科の病気になった場合に、獣医師の説明を聞くときにイメージが浮かびやすいと思います。