獣医師が解説!小型犬に多い、膝蓋骨脱臼ってどんな病気? Vol.2

前半のVol.1では、膝蓋骨脱臼とはどういう病気かについてお話ししてきました。ここでは、引き続き膝蓋骨脱臼に関して、どのような症状がみられるのか、診断法、治療はどのようにするか、この病気であると診断された場合に気をつけておきたい点について、ご説明していきたいと思います。

症状

膝蓋骨脱臼の症状は、Vol.1で述べた重症度によって変わってきます。
  • 重症度Ⅰ:ほとんど症状のない状態です。
  • 重症度Ⅱ〜重症度Ⅲ:スキップしたり、けんけんするといった動作がみられます。この動作はつまり運動でずれてしまった膝のお皿を自分でもどしているのですね。
  • 重症度Ⅲ:O脚(内反膝)やX脚(外反膝)を示し、脱臼している足を使わずかばってくるようになり、前足に負担がかかってきます。
  • 重症度Ⅳ:足は曲がったまま全く使えなくなってしまいます。
初期の段階では、痛みは認められませんが、膝のお皿がうまくはまらなくなるにつれて、軟骨が摩擦され、炎症をおこし、痛みを生じてくるようになります。

診断

一般的に、身体検査をおこない、触診において診断されますが、重症度Ⅲ〜Ⅳになってきますとレントゲン検査が必要になってきます。これは、大腿骨、頸骨といった膝の上下の骨の形状の異常や捻転を確認するためです。

治療

膝蓋骨脱臼の治療には、内科学的治療と外科的治療があります。一般的に重症度が低い症例は、内科治療で管理をすることが多く、重症度が高くなり、足を使えない状態ですと、外科治療が選択されます。

内科学的治療

・消炎鎮痛剤:痛みを鎮め、炎症を抑えるのに使われます。 ・軟骨保護薬:グルコサミン、コンドロイチンなど関節軟骨の変性を軽減することを目的に使われます。

外科学的治療

体重と重症度により、術式が選択されます。手術の内容としては、膝のお皿が収まる場所をきちんと形成しなおす手術(滑車溝形成術)や膝の周りの筋肉が正常に伸展できるように、お皿が脱臼している方向と反対側に4頭筋群の筋肉の付け根である脛骨粗面の位置を移動させる手術(脛骨粗面移植術)などが挙げられます。

気をつけたい点

膝蓋骨脱臼と診断されてしまったら、その個体の年齢と重症度にもよりますが、どの場合も肥満には注意が必要です。膝に余計な負担がかからないように、理想体重の維持に努めましょう。また、ジャンプや回転運動などは膝に負担がかかる運動ですので、お散歩中やおうちでも注意して様子をみてあげましょう。
すべる床などもよくありませんので、フローリングのおうちはカーペットをひくなどの工夫をしてあげましょうね。また、この病気は遺伝的なものであることが多いので、小さいころに診断された場合、その個体を繁殖に使うのは望ましくないとされています。

まとめ

膝蓋骨脱臼という病気について、詳しくみていきましたが、みなさんもこの病気のことがお分かりになりましたでしょうか。スキップなどちょっとした症状を見逃さず、初期に診断がつけられれば、それだけ色々気をつけてあげることもできると思います。それによって、痛みや、足を使えないといった苦痛を避けられることもありますので、ぜひ日頃からかわいい愛犬の様子をみてあげてくださいね。