獣医師が解説するトイプードルにかかりやすい病気 Vol.2

人気犬種トイプードルがどのような病気にかかりやすいか知っておこうシリーズVol.1では、門脈体循環シャントについて解説していきました。今回このVol.2では、関節疾患に焦点を当てて、膝蓋骨脱臼とレッグペルテスという病気についてご説明していきます。

膝蓋骨脱臼

この膝蓋骨脱臼という病気は、トイプードルを含む小型犬に多発するといわれ、どの犬種にもおこる可能性はありますが、トイ種、ミニチュア種で発生が多いです。

病気の定義

専門的にいうと、「大腿骨滑車における正常な解剖学的位置から内方あるいは外方への膝蓋骨の変位。」が膝蓋骨脱臼の定義になります。つまり、膝のお皿にあたる膝蓋骨が定位置にはまらずに内側、外側に外れてしまう病気です。小型犬では、75%が内方に脱臼するといわれています。

症状

初期はほとんど症状をおこしませんが、以下のような症状がみられたら注意が必要です。
  • スキップしたり、ケンケンする動作
  • 足が妙に蟹股だったり、内股である
  • 足をかばうような動作やびっこがみられる
  • 足をもちあげて地面につこうとしない

診断

一般的に、身体検査をおこない、触診において診断されます。大腿骨、頸骨といった膝の上下の骨の形状の異常や捻転を確認するため、レントゲン検査が実施されることもあります。

治療

膝蓋骨脱臼の治療には、内科学的治療と外科的治療があります。一般的に重症度が低い症例では、運動制限や消炎鎮痛剤、軟骨保護薬などの内服薬を用いる内科的治療で管理をすることが多いです。また、重症度が高くなり、足を使えない状態ですと、膝蓋骨の位置を正常にもどし、膝の伸展運動が正常におこなえるようにするよう外科的治療が選択されます。

ポイント

トイプードルは、陽気で活発な犬種で、かなりの勢いで走り回ったり、ぴょんぴょんと飛び上がったりします。このジャンプ運動やくるくると回転運動などは非常に膝に負担がかかりますので、膝蓋骨脱臼と診断されてしまったら、避けた方がよいでしょう。
フローリングなどすべる床などもよくありませんので、カーペットをひくなどの工夫が必要です。肥満もこの病気の悪化要因になりますので、気をつけましょう。

レッグ・ペルテス病

トイ種とテリア種などの小型犬に起こりやすい病気で、トイプードル、ミニチュア・ピンシャー、ウエストハイランドテリア、ケアン・テリアなどで発生率が高いといわれています。発症は3〜13ヶ月齢の間で、生後6〜7ヶ月からに最も多く起こります。

病気の定義

専門的にいうと、大腿骨頭および大腿骨頸の特発性変性で、股関節の虚脱や骨関節炎を引き起こす疾患です。つまり、後ろ足の大腿骨頭とよばれる場所が異常な形状を呈し、その部位の血液供給不足により、骨頭が壊死してしまい、股関節に炎症をおこしたり、正常に機能しなくなってしまうという病気です。両側性に発生するのは珍しく、一般的には片側性とされています。

症状

以下のような症状が見られたら、注意が必要です。
  • 後ろ足がびっこになる
  • 後ろ足を動かすときキャンと痛がる
  • お尻のあたりを撫でると痛がる
  • 以前のように動きたがらない
  • 右と左で後ろ足の筋肉の付き方が違う

診断

・触診:股関節を可動させた際の違和感、痛みを訴えたり、股関節の異常なクリック音が認められます。
・レントゲン検査:初期では、関節腔の拡大、骨端部の骨密度の減少、大腿骨頭頸の硬化と肥厚が認められます。後期になると、大腿骨頭にX線透過性の部位が認められ、大腿骨頭の平坦化、著しい変形がみられ、重度の変形性関節症となります。

治療

外科的治療が第一選択とされます。具体的には、大腿骨頭と頸部の切除、つまり変形、壊死部位を取り除く手法がとられます。この病気にかかる犬がほぼ小型犬であるため、大腿骨頭と骨頸部を切除してしまっても、術後の患肢の予後は良好です。

ポイント

トイプードルの子犬が後ろ足をびっこ引く場合は、レッグ・ペルテス病と膝蓋骨脱臼を併発していることもありますので、動物病院できちんと診断をしてもらいましょう。