獣医師が解説するトイプードルにかかりやすい病気 Vol.3

人気犬種トイプードルがどのような病気にかかりやすいか知っておこうシリーズVol.1では、門脈体循環シャントについて、Vol.2では膝蓋骨脱臼とレッグペルテスという関節の病気について解説していきました。ここVol.3では、目の病気に焦点をあてて、進行性網膜萎縮症(PRA)と白内障についてご説明していきたいと思います。

進行性網膜萎縮症(PRA)

トイプードルやミニチュアダックスフンドなどに多い遺伝性の目の病気です。常染色体性劣性遺伝を示すといわれています。トイプードルでは2〜4歳で発症することが多いようです。

病気の定義

PRAは、遺伝性の進行性網膜疾患の一型で、汎網膜萎縮と中心性網膜萎縮の2型に分けられます。トイプードルに多く見られるのは、前者の汎網膜萎縮で、細かくいうと進行性の杆体ー錐体の変性をおこすタイプといわれています。つまり、網膜にある光を受容する部位に異常を生じ、網膜が徐々に萎縮して、最終的には失明に至ってしまう病気です。

症状

以下のような症状がみられたら注意が必要です。
  • 暗くなると物にぶつかったり、周りが見えにくそうにする。(初期)
  • お散歩コースを変えるととまどう、物にぶつかる
  • 目の前に手をかざしても反応しない(後期)
症状としては、初期は暗がりが少し見えにくいのみで、日中は全く問題ない状態で、徐々に日中の視力も落ちてきて、最終的には失明するという経過をたどります。

診断

・問診
・身体検査:対光反射の有無、威嚇反射の有無
・検眼鏡検査
・網膜電位図(ERG)検査
・遺伝子検査
以上の検査から、PRAの診断がなされます。

治療

残念ながら、有効な治療法は確立されていません。ごはんの場所や散歩コース、生活上愛犬にストレスがなるべくかからないように考慮してあげましょう。

ポイント

なんだか、夜部屋の電気が消えると物にぶつかるようだという場合は、早めに動物病院で検査をしてもらいましょう。愛犬の目の状態を知ることで、飼い主として気をつけてあげることが出来ることもあります。
PRAは遺伝的な病気で、残念ながら最終的に失明してしまうものですが、不幸中の幸いとして、痛みは全く生じません。犬は嗅覚、聴覚にすぐれているため、環境が変わらない限り、多くの場合は環境を覚えていて、上手に暮らしていくことができます。

白内障

犬種としては、プードル、コッカー・スパニエル、ビーグル、ミニチュア・シュナウザーなどで発生が多くみられます。ほとんどの白内障は、遺伝性ですが、糖尿病や外傷、内分泌性疾患に伴って後天的にみられる場合もあります。

病気の定義

眼球の中のレンズが、透明性を維持できなくなって、白濁した状態を白内障とよびます。

症状

以下のような症状が見られたら、注意が必要です。
  • 黒目の一部または全部が白く濁って見える
  • 物にぶつかる
初期は、視力障害は認められませんが、進行に伴って視力障害が認められるようになります。

診断

・生化学検査:糖尿病や白内障など白内障の原因となる病気の除外をします。
・検眼鏡検査
・網膜電位図(ERG)検査:手術を検討する場合は、必ず行います。

治療

初期に白内障の診断をうけた場合は、進行を遅らせる目的で、点眼薬やビタミン剤が処方されることがあります。近年では、人と同じように白内障の手術を選択されることもできますが、術後頻回の点眼が必要になりますので、性格的に点眼が困難な場合は、注意が必要です。