獣医師が解説するトイプードルにかかりやすい病気 Vol.4


医者

流涙症

流涙症には、眼の刺激に続発して起こる場合と涙が通る管である鼻涙管が閉塞して起こる場合が考えられます。
トイプードルでは、前者の原因として、先天性に睫毛乱生(まつげの生える向きが不規則なもの)または睫毛重生(まつげが通常生える位置より眼球側にある マイボーム腺という所からも生えているもの)でおこることが知られています。
また、鼻涙管閉塞もよくおこす犬種です。

病気の定義

専門的には、前角膜涙液層の水分部分が異常にあふれることを示します。
つまり、涙目で、涙が目尻や目頭から こぼれ落ちる状態です。

症状

以下のような症状がみられたら注意が必要です。

  • 目が常にうるんでいる
  • 目の周りの毛の色が変わってしまっている
  • 目を気にしてよくこするそぶりをする

診断

・問診
・身体検査:異常なまつげがないかなどチェックします。

・鼻涙管検査:涙点にカテーテルを入れ、フルオレセインという染色液を注入して、鼻涙管がきちんと開口しているか確認する検査です。

治療

原因が、眼への何らかの刺激が原因であった場合は、その刺激になっている原因を取り除きます。
例えば、まつげの異常であったら、まつげを抜いたり、まつげの毛根を凍結したりの処置を行います。
また、鼻涙管が閉塞している場合は、鼻涙管を洗浄して、開口させます。
涙やけがひどい場合、変色した毛の色をもどすサプリメントが処方されることもあります。

クッシング症候群

副腎皮質亢進症ともよばれ、多くは7歳以上の高齢犬の小型犬に認められ、プードル、ダックスフンド、ボストン・テリア、ボクサー、ビーグルなどの犬種で起きやすいといわれています。

病気の定義

下垂体性と副腎性と2種類考えられますが、いづれも腫瘍が発生することにより、副腎からのコルチゾールというホルモンが過剰に放出されてしまい、それによって様々な症状が出てきてしまうものです。
またグルココルチコイド過剰投与による医原性でおこることもあります。
主な症状としては、多飲多尿、多食、皮膚の異常(皮膚が全体的に薄くなったり、石灰沈着という特徴的な皮膚病変をおこしたりします。
)、腹部膨満、筋肉の萎縮(それによる震え)などがよくみられます。

症状

以下のような症状が見られたら、注意が必要です。

  • 水をがぶ飲みして、おしっこが大量にでる(多飲多尿)
  • 食欲が異常にある
  • お腹がぼってりでている
  • 疲れやすい
  • 脱毛がみられる
  • 毛づやが悪くなった
  • よくはぁはぁした息づかいをする
  • 皮膚が全体的にうすい
  • 筋肉の萎縮やそれに伴う震えがみられる

診断

・一般血液検査:好酸球減少、白血球増加、赤血球増加などがみられます。

・生化学検査:肝酵素、コレステロールの高値を示します。

・尿検査:低比重尿、血尿、濃尿、細菌尿などがみられます。

・ACTH刺激検査:コルチゾールの最大分泌量を調べる検査です。
医原性では刺激前後でいずれも低値を、下垂体性、副腎性では、刺激1時間後に数値が跳ね上がります。

・レントゲン検査:肝腫大、気管などに石灰化、副腎の腫大など

治療

医原性の場合は、投与しているコルチコイドを段階を経て減量していきます。
副腎性の場合、可能であれば第一選択は外科的副腎腫瘍の切除、困難であれば内科的にコルチゾールの分泌をおさえる治療を行います。
下垂体性の場合、一般的には内科的治療が行われますが、外科的に下垂体腫瘍を摘出するという選択肢もありますが、いわゆる脳腫瘍摘出術のため、二次診療施設での特別な体制下で行われるもので、術中、術後リスクも伴います。

ポイント

この病気は、食欲が増すので、病気と気づかずに発見が遅れることがあります。
食欲があっても、異常に水を飲んだり、しょっちゅうトイレに行きたがったり、おもらししたりする場合は、早めに動物病院で診てもらって下さい。